ジンジャーフルーツケーキ[mama’s selection MOTOMACHI CAKE kobe]
ジンジャーフルーツケーキ
[mama’s selection MOTOMACHI CAKE kobe]
今回、ご紹介するジンジャーフルーツケーキは、ブランデー漬けにしたレーズンやフルーツを生地にたっぷり練り込み、ショウガの風味を効かせた大人のスイーツ。創業70周年を迎える神戸市の洋菓子店「mama’s selection MOTOMACHI CAKE kobe」で、何十年にもわたって愛されている看板商品です。三代目オーナーシェフで、製菓技術コンテスト「2014シャルル・プルースト杯」で世界一に輝いた大西達也さんは、「安定した味に仕上げるのが難しかったため、しばらくの間製作を中断し、美味しく食べやすくなるよう試作を繰り返しました」と話します。そうして改良され、今年初めに復活したジンジャーフルーツケーキは、「時間を置くとフルーツに含まれる水分と生地が馴染み、しっとりとしたいい食感になるんです」と満足している様子。日持ちするので、贈り物にもおすすめです。
<PHOTO>ジンジャーフルーツケーキ1本1,400円(税込)
生菓子は、多彩な味のハーモニーが決め手。
卵黄たっぷりのカステラのようなスポンジに、生クリームとイチゴを乗せた「ざくろ」は、40年以上にわたり人気のロングセラー。夏の定番「レモンパイ」は、メレンゲやレモンカード、紅茶のブリュレ、チョコレート……とさまざまな味のハーモニーが楽しめます。「ピクニック」は、神戸のパティシエグループ主催の「神戸パティスリーコレクション」に向けてつくった大西さんの新作。濃厚なチーズクリームにハーブの香りが爽やかな一品です。
〈PHOTO〉奥左:ピクニック460円、奥右:レモンパイ310円、手前:ざくろ270円(税込)
「私福の時間とは?」
パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回の「ジンジャーフルーツケーキ」を推薦いただいた朝倉シェフの「バスク・オ・フロマージュ」はvol.03で掲載しています。
「この店のお菓子には家族の思い出がある。その味を守り、引き継いでいく責任があると感じています」と大西さん。約11年前、オーナーになってからは、安定した美味しさを提供するために、それまで職人の勘に頼っていた材料の量や温度、焼き方などを確立し、レシピづくりに専念しました。その中で気づいたのは、先代が材料はシンプルに、製法は常識にとらわれない独自のやり方で美味しさを追求していたということ。「どの商品も素朴ですが、生クリームは生地に合わせて変えるなど、つくり方は繊細。それが、甘いのにキレのある美味しさにつながっています」と話します。レシピづくりが一段落した今、「今度はお客様のご意見に耳を傾けながら、新商品を手がけたい」と大西さん。家族の思い出の味がまた、この店で生まれようとしています。
SHOP DETAmama’s selection MOTOMACHI CAKE kobe
戦後間もない1946年、焼け残ったオーブンを使ってお菓子づくりをスタートしたのが、このお店の始まり。当時は貴重だったバターを使ったパイやケーキはたちまち評判になり、人気店になりました。店頭には今も、創業当初につくられた素朴な生菓子が並び、親子四代で訪れるファンも多いとか。カフェも併設されているので、つくりたての生菓子を味わってみてはいかがでしょうか。
大西さんが惚れこむ逸品は……
「私のおすすめは、洋菓子マウンテンのチョコレート〈杏と塩〉です。その名の通り、塩味がほんのり効いたチョコレートです。素材はシンプルなのに一味違うのは、世界のショコラティエが腕前を競う『ワールドチョコレートマスターズ2007』で、日本人で初めて世界一になった水野君だからこそ。7月下旬にリニューアルオープンし、今後の展開が楽しみです」