タルト カカオエット [Patisserie Cacahouéte Paris]
タルト カカオエット [Patisserie Cacahouéte Paris]
今回の逸品は、東京・中目黒にある「パティスリー カカオエット・パリ」の「タルト カカオエット」です。カカオエットとはフランス語で落花生のこと。落花生をキャラメリゼしたタルトの上に、きれいなドーム型のムースがのっています。ムースの中は白のバニラがメインで、中心部に生キャラメルを、まわりのコーティングにもキャラメルを使って仕上げてあります。タルトは硬めながらサクッとした食感で、口にすると落花生の風味が広がり、ほどよい甘さです。フランス人オーナーシェフのジェローム・ケネルさんが、妻の椛澤貴子さんの故郷である千葉の名産品・落花生に着目。フランス菓子の特徴である強い歯応えや深い味わいを損なわず、日本にある食材をうまく取り入れたお菓子として、お店の看板商品になっています。
〈PHOTO〉タルト カカオエット560円(税込)
心惹かれる洗練された味とユニークなフォルム
常時25種類ほどのお菓子が並ぶ中で、シンボリックな存在となっているのが「シューキューブ」です。ジェロームさんが日本で初めて四角いスイカを見て感激し、それをきっかけに四角いシュークリームづくりにチャレンジして完成させました。パン生地のようなシューは薄くてやわらかく、中に濃厚なクリームがたっぷり入っています。また、大きめのクロワッサンや、クロワッサン生地のワッフルなど、ユニークな味わいのパン類も注目の商品です。
〈PHOTO〉左:シューキューブ ヴァニーユ400円、右:クロワッサン ワッフル ショコ320円(すべて税込)
「私福の時間とは?」
パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回のタルト カカオエットを推薦いただいた、足立シェフのキャラメル ノアはvol.10で掲載しています。
ジェロームさんは、フランスの名店「ラデュレ」や「ピエール・エルメ」、「プラザ・アテネ」などで腕を磨いた実力派。そのキャリアと豊かな感性から生み出されるケーキは、どれも洗練された味と美しさを持っています。フランス菓子の研究家で製造責任者を務める椛澤さんと二人三脚でお店を営み、「材料は妥協せず、自分が納得できるものだけを使っています。それと同じくらい、見た目の美しさや独創性も大事」と考えるジェロームさん。時間があれば外に出かけて、建物の構造を見たり、風景を眺めて、新作のアイデアやデザインのヒントを探っているそうです。さらに「ときには遊び心も必要」との思いが加わって誕生したのが、グラスに入ったショートケーキ。ストローを挿して底の部分にあるイチゴのピューレを吸ったり、スプーンで生クリームやイチゴをかき混ぜながら食べるユニークさが評判に。そんなジェロームさんならではの発想力も、美味しさの秘けつなのかもしれません。
SHOP DATAPatisserie Cacahouéte Paris
多くの人で賑わう東急東横線「中目黒」駅から少し離れた住宅街の一画にあり、隠れ家的な存在です。店内は白と黒が基調で、まるで宝石店のような雰囲気。ショーケースの中のケーキの色合いをより引き立てる内装になっています。店内と店外にカウンターがあり、それぞれに3席ずつイスが用意されていて、イートインも楽しめるようになっています。
ジェローム・ケネルさんが惚れこむ逸品は……
「これまで数多くのお菓子を食べてきた中で、ひときわ印象深いのがパッション ドゥ ローズの『サバラン オ アルマニャック』です。風味がとにかく素晴らしい逸品。オーナーシェフの田中さんがつくるお菓子は、見た目の美しさだけでなく、その真摯なお菓子づくりの姿勢も共感でき、多くの人におすすめしたいお菓子を生み出すパティシエです」