魅せる収納術01
魅せる収納術01
家の中が片付くと、「場所」「お金」「時間」「心」の4つのゆとりが生まれます。物が所定の場所にきちんと収まることで住まいがすっきりし、すでにあるものの二重買いを予防でき、探し物をする時間が減ります。それによって、気持ちに余裕ができるからです。今回は、整理収納アドバイザーの西口理恵子さんに、使いやすく美しい収納のコツを伺いました。
西口理恵子さん
整理収納アドバイザー1級、インテリアコーディネーター、宅地建物取引士。新築マンション営業、企画に携わり、「インテリアR」を立ち上げる。「美人収納」を掲げ、テレビ・雑誌でも活躍。セミナー・講演だけでなく、個人宅で、整理収納・インテリア・美を総合した「美人収納術」を直接指導している。
「整理収納は面倒…」「片付けって大変」と思ってしまうのは、全部まとめて一気にやらなければと思うから。整理→収納→片付けの順番で取り組めばスムーズに家の中を整えることができます。また、10月はリビング、11月はキッチンというふうに、1カ月に1カ所ずつ、年間スケジュールのようにカレンダーに書き込んでおくと、ムリなく取り組めます。
整理収納するときは、家をきれいにして「何をしたいか」というゴールをイメージしながらやってみてください。本をゆっくり読みたい、自宅で紅茶教室を開いてみたいなど、ゴールを思い浮かべながら取り組むと、どんなふうに整理収納すればいいか、自分なりに想像できます。
整理収納のスタートは「整理」、つまり「物を分類すること」からです。多くの人は「いるもの・いらないもの」で物を分類しますが、まだいるかも…と考え始めると、結局分けられなくなります。分類するときは「種類別」に分けるのがポイント。例えば、ペン、タッパ、上着という具合に、頭で考えなくても分けられる項目で分類していきます。
物を分類すると、自分がどれだけ物を持ちすぎているかに気づきます。例えば、家中のボールペンを1カ所に集めてみると、10本も20本もあるご家庭がほとんど。あちこちに散らばっているため、普段は総量が見えないのです。でも、総量が見えると、「ボールペンは3本で十分」など、物の適正量が分かり、いらないものを自然と判断できます。ただし、物を処分することに抵抗があるなら、ムリに捨てる必要はありません。捨てる気になったときに処分しましょう。
1)分類が終わったら、物を収納していきます。このときに重要なのは、家族の動線。家族がよく通る場所に、よく使うものを収納するとうまくいきます。例えば、写真のチェスト。リビングのドア付近にあり、中には子どもの着替えが入っています。これは、ドア付近が最も家族が通る部分であり、ここで子どもに服を着せることが多いから。こんなふうに、家族の動線を考えると、「子ども部屋に着替えを取りにいって、リビングに戻って…」というムダな動きを抑えられます。
2)収納するときは、引き出しなどにラベルを貼って「物の住所」を決めておくと、片付けるときに便利です。引き出しの中は、ボックスなどをうまく使って仕切っておけば整頓と取り出しがラク。厚手の紙袋の下部を切り取っても、仕切りとして使えます。
しまうときは、手前にはよく使うものを、奥にはたまにしか使わないものを。こうしておけば、普段必要なものをサッと取り出せます。収納は「取り出しやすさ」を考えることが大切。「探す」というアクションをいかにカットするかが、収納のポイントです。
3)どの高さに収納するかも重要なポイント。目線からひざまでは物を最も出し入れしやすい「ゴールデンゾーン」なので、使用頻度の高いものを収納するのに適しています。使用頻度は「1カ月に1回使うか使わないか」を目安に。
逆に、手が届きにくい上部や足元のゾーンは、外から見えにくい部分なので、使用頻度が低く、人目に触れさせたくない物を収納するのに重宝します。こうした「見えない部分」をうまく使うと、生活感を抑えられ、室内をすっきり見せることができます。
百円均一でボックスを買いそろえたのはいいけど、色も形もバラバラ…という経験、ありませんか?ボックスは、色や形をそろえたほうが収まりがきれいな上に、物が探しやすくなります。色がバラバラだとパッと見たときに、目に入ってくる情報がたくさんになり、物が探しにくくなることがあるからです。おすすめは、シンプルな無印良品のボックスやイノマタ化学のバスケットなど。あらかじめ収納スペースのサイズを測っておき、そこにきっちり収まるサイズを選ぶのがコツです。マスキングテープは、マジックで分類名を書けばラベル代わりになります。
リビングは家族がくつろぐ場所なので、ごちゃごちゃと物を置かないほうが快適です。子どものゲームやDVDなどは種類別にボックスに入れ、テレビ下のキャビネットに収納すればすっきりします。取り込んだ洗濯物を入れるバスケットを置いておくのもおすすめ。忙しいときはひとまずここに入れ、落ち着いたときにたためば、洗濯物でリビングを占領されることもありません。家族ごとにバスケットを分けておいて、それぞれ自分でたたんでしまう習慣をつければ、家事の負担も減らせます。また、子どものおもちゃは空間を雑然とさせるので、普段は別の場所に置き、子どもが遊ぶときはボックスごとリビングに持ってきて、片付けるときはボックスごと戻すようにすれば、すっきりとした空間を保てます。
「子どもがおもちゃをぜんぜん片付けなくて…」と頭を抱えている方は少なくありませんが、「物の住所」を決め、子どもに分かりやすいラベリングをすることで、自然とお片付けができるようになります。まずは「本」「ぬいぐるみ」「ブロック」などに分類し、子どもの目の高さを考えながら棚板を調整し、よく使うおもちゃをゴールデンゾーンに収納していきます。ただし、重いものは下部に置いたほうが安全です。ラベルは、文字だけでなく、おもちゃの形に切り抜いて貼ると、文字を読めない月齢でもきちんとおもちゃを戻せます。大型のおもちゃは、テープでラインを引いて置き場所を決めておくと効果的です。