私福の時間vol.14

焼き菓子[tawanico]

焼き菓子[tawanico]

季節が薫るフルーツタルト

今回ご紹介するのは、大阪府庁の近くにある「tawanico(タワニコ)」の焼き菓子です。お菓子を手がけるのは、菓子職人歴約10年の田脇裕幸さん。タルトやシュークリーム、スコーンなどは「毎日食べたくなるおやつ」をめざしてつくられているとあって、素朴で温かみがあり、優しい甘さ。オープン1年も経たないうちに、焼き菓子ファンの間で注目を集めるようになりました。特に、デンマークの伝統的なオープンサンド「スモーブロー」にインスピレーションを得た四角いタルトは、旬のフルーツたっぷりで瑞々しい美味しさ。タルト生地の表面はサクッ、中はしっとりとした食感にも田脇さんのセンスと腕が光ります。使われるフルーツは時期によって変わり、春の終わりには桜とフランボワーズのタルトが登場し、初夏には桃も使う予定。まさに季節の移ろいを感じられる逸品です。


〈PHOTO〉
りんごのタルト450円、文旦とブルーベリーのクリームチーズタルト570円、ホットコーヒー400円(すべて税込)

おやつにぴったりの優しい甘さ

小ぶりのシュークリーム「きびシューパリゴー」は、カリッと香ばしく焼き上げられたシュー皮と、きび砂糖のコクが感じられる生クリーム&カスタードクリームが好相性。「このサイズがおやつにぴったり」と女性に人気の看板メニューです。国産全粒粉と北海道産小麦粉を使った生地に、甘くて苦味の少ないクルミを混ぜ込んだ「メイプルクルミスコーン」もティータイムにおすすめです。

<PHOTO>メイプルクルミスコーン290円、きびシューパリゴー310円

「私福の時間とは?」

パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回の焼き菓子を推薦いただいた林シェフのエクレアはvol.13で掲載しています。


[美味しさの秘けつ]生産者の想いや苦労をタルトに乗せて

「お菓子はつくり立てが一番」と言う裕幸さん。毎日朝早くから、タルト台のアーモンドパウダーを挽くなど仕込みを始め、できたばかりのお菓子を店頭に並べています。素材はできる限り国産を使用し、フルーツも日本で栽培されるものを果物店に足を運んで厳選。「仕入れを通して生産者の方々のご苦労を知り、その想いをタルトに乗せて伝えたいと思うようになりました」と話します。そんな焼き菓子と、西宮市の「TAOCA COFFEE」から仕入れるコーヒーは相性抜群。「特にブレンドコーヒーは、この店のためにつくってもらったオリジナル。うちのお菓子に合うよう、苦味を出してもらったんですよ」と裕幸さんと二人三脚でお店を切り盛りする奥様の愛香さん。注文が入ったら豆を挽き、お湯の分量や蒸らし時間を計りながら丁寧にドリップ。コーヒーのいい香りが漂ってきたら、豊かなおやつ時間の始まりです。

SHOP DATAtawanico

2016年6月、スイーツショップ激戦区になりつつある天満橋~谷町界隈にオープンした、焼き菓子とコーヒーのお店。ショーケースに並ぶお菓子は常時7~8種類。タルトやシュークリーム、スコーンなどはどれも素朴でかわいらしく、北欧風のナチュラルなインテリアにしっくり馴染んでいます。スイーツがすべて焼き上がるのは、昼ごろ。イートインもできるので、つくり立てのフレッシュな焼き菓子をゆっくり楽しんではいかが。

大阪市中央区大手通2-2-9 サンマンション大手前1F Tel.06-6910-4085
[営業時間]9:00~18:00
[定休]火曜、水曜

田脇さんが惚れこむ逸品は……

次回
予告
プティ・アルシェ(奈良県橿原市)
[Vol.15]マカロン

「私のおすすめは、『プティ・アルシェ』のマカロンです。マカロンは焼き加減などが難しいのですが、オーナーシェフの永本善治さんがつくられるものは食感がよく、美味しいんです。材料に対するこだわりが強く研究も熱心なので、マカロンを完成させるまでにかなり試行錯誤してつくられたのだろうと思います。永本さんは明るく人柄もよく、大好きなシェフの1人。その人間性はお菓子にも表れていると思います」