アリバ、ぺ・ショコラほか[Patisserie idée]
アリバ、ぺ・ショコラほか[Patisserie idée]
兵庫県尼崎市の閑静な住宅街、武庫之荘。その一画にある「Patisserie idée(パティスリー・イデ)」のショーケースには、一年中、チョコレートを使った生菓子が並びます。大阪のパティスリーやフランスで研鑽を積んだオーナーシェフの井伊秀仁さんは、「気に入っているのは、イタリア産カカオ54%のチョコレート。苦味が強くなくマイルドな味わいなので、メインで使っています」と話します。チョコレートを扱う上で気をつけているのは、しっかり乳化させること。「そうすると、濃厚な美味しさは保ちつつも、口溶けがよく軽い口当たりに仕上がるんです」。そうして下準備されたチョコレートは、ムースやしっとり濃厚なケーキなど、バリエーション豊かなスイーツに変身。さらに、ショコラムースにはサクッとした食感のクッキーを忍ばせたり、ホワイトチョコレートのムースには甘酸っぱいフランボワーズのコンフィチュールを加えるなど、一つのケーキでさまざまな香りと食感、味わいが楽しめるのも美味しさの秘密です。
クリームにサンファリーヌ生地を用い、濃厚なショコラに仕上げられたアリバ390円(左)と、ショコラムースにピスタチオのババロワを入れたぺ・ショコラ400円(右)
※価格はすべて税別。また、季節により一部商品が変更となります。
素材から着想を得たお手軽スイーツ
新茶の時期に登場する「今西製茶の新茶蒸しパン」は、京都府相楽郡和束町の「今西製茶」の新茶を米粉ベースの生地に混ぜ込んで焼き上げたお菓子で、蒸しパンのようなもっちりした食感が好評です。シンプルなお菓子なので、バターをつけたりコンフィチュールを挟んだり、さまざまにアレンジして楽しむファンは多いそう。季節のフルーツでつくるコンフィチュールも、人気の一品。春はラズベリーとハイビスカス風味のもの、夏は長野のアプリコットのコンフィチュールが登場。秋は何が登場するのか、今から楽しみです。
<PHOTO>今西製茶の新茶蒸しパン190円、コンフィチュール600円(すべて税別)
「私福の時間とは?」
パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回のアリバやペ・ショコラなどを推薦いただいた、大久保さんのキャラメルクリームはvol.17で掲載しています。
「見た目はかわいらしく、エレガントに」をモットーに、お菓子をつくる井伊さん。「雑貨や洋服を選ぶように、楽しみながら選んでほしいと思っています」と話します。もちろん、美味しさも重視し、つくれるものは手づくりするのも、井伊さんにとっては当たり前の作業です。例えば、コンフィチュールはフルーツ選びから始めて手づくりし、ミントのチョコクリームは、ミントと牛乳をプロセッサーにかけて沸騰させ、さらに蒸して裏ごしし、チョコレートに混ぜ合わせます。「こうした作業を経ることで、納得のいく味とオリジナリティが生まれます」と井伊さん。手間を美味しさに変え、丁寧に一つひとつのスイーツを手づくりしているのです。
SHOP DATAPatisserie idée(パティスリー イデ)
住宅街に佇む、マカロンカラーで彩られたお店。ショーケースには、作家やイラストレーターの友人からインスピレーションを得てデザインしたという、可憐な生菓子が約15種類並びます。ひと月に1種類は新作が登場し、訪れるたびに新しい味に出会えるのもこの店の魅力。併設のカフェでは、つくりたてのスイーツを楽しむことも。また、作家とのコラボレーションによるワークショップも開催しています。
井伊さんが惚れこむ逸品は……
「『マ ビッシュ』のお菓子はどれも美味しいのですが、なかでも感動したのは『シュクセ・プラリネ』です。メレンゲにアーモンドパウダーを加え、プラリネショコラを組み合わせたシンプルな構成のお菓子ですが、生地の食感が新鮮で組み合わせ方も素晴らしいと感じました。シェフはお菓子づくりに手間を惜しまず、考え方もしっかりされています。そうした姿勢が、シンプルなお菓子をより美味しくしているのだと思います」