シュクセ プラリネ[ma biche(マ・ビッシュ)]
シュクセ プラリネ[ma biche(マ・ビッシュ)]
今回の逸品は、スイーツ激戦区・兵庫県芦屋市にある「ma biche(マ・ビッシュ)」の「シュクセ プラリネ」です。シュクセ プラリネとは、アーモンドパウダー入りのメレンゲ生地・シュクセと、プラリネ風味のバタークリームを重ねたフランス菓子。濃厚な味わいが特徴ですが「もう一口食べたくなるような、味わいと食感をめざしました」と、オーナーシェフの村田博さん。神戸の名店「パティスリー モンプリュ」でスーシェフを務めたセンスと腕前で、バタークリームの代わりにバタームースを使ったり、ザクザクとした歯ごたえが楽しめるようシュクセを分厚く焼くなど、オリジナリティーを加えました。そうして完成した伝統菓子は、コクがあって甘いのに、軽い口当たり。まさに、後を引く美味しさです。
<PHOTO>シュクセ プラリネ490円(税別)
軽い味わいのバニラクリームとほろ苦いショコラクリームを重ねた「サンマルク」は、甘味と苦味のコンビネーションが絶妙。季節ごとにフランボワーズやカシス、マロンと味わいが変わる「ムラングシャンティ」は、フルーツのフレッシュな香りとサクッとした歯ごたえが楽しめます。しっとり食感の「アリババ」は、カスタードクリームの中にグランマニエで香り付けしたオレンジを忍ばせ、ジャマイカラムで仕上げたスイーツ。一口頰張ると、芳醇なラムの香りが口いっぱいに広がる大人の味わいが魅力です。
<PHOTO>左からサンマルク470円、ムラングシャンティ フランボワーズ480円、アリババ480円(すべて税別)
「私福の時間とは?」
パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回のシュクセ プラリネを推薦いただいた井伊さんのアリバ、ぺ・ショコラなどはvol.18で掲載しています。
「スタンダードなお菓子を自分らしくつくりたい」という村田さんは、想像を少し超える美味しさをめざしていると話します。例えば、クレームカラメル(プリン)は、口に入れるとスッととろけるなめらかさを出すために、低温で1時間ほどかけてじっくり焼き上げているのだそう。また、ショートケーキのスポンジは、細かくしっかりした生地感を保ちつつ、フワッとしたやわらかさも両立するために、五感をフル回転させて作業を進めています。「特に混ぜる時は、素材の状態を感じながら、混ぜる方向や強さ、材料を投入するタイミングなどを微妙に変えています」と村田さん。素材と対話するようにお菓子づくりができるのも、長年の経験があるからこそ。その感覚が、ちょっとした驚きのある美味しさを生み出しているようです。
SHOP DATAma biche(マ・ビッシュ)
2017年2月、閑静な住宅街にオープンして以来、注目を集めている同店。生菓子は常時18~20種類そろい、焼き菓子やクロワッサン、ブリオッシュなども並びます。店名に「パティスリー」を冠していないのは、つくっているのがフランス菓子ばかりではないこと、将来的にはヴィエノワズリーなどのパンやキッシュ、惣菜も充実させたいからだとか。村田さんがアイデアを出したというギフトボックスは、桜の模様がほんのり浮かび上がる可憐なデザイン。焼き菓子を詰めて、大切な人へ贈るのもおすすめです。
村田さんが惚れこむ逸品は……
「私自身、ほろ苦いキャラメルが好きなので、プリンをはじめ、さまざまなキャラメル菓子を食べてきましたが、『パティスリー アクイユ』の『サントノーレキャラメル』は別格です。甘いながらも苦味があって、切れがある。とても美味しいんです。昔からあるシンプルなお菓子を美味しくつくるのは難しいのですが、それができるのは、高い技術があるからこそ。キャラメル好きにはおすすめです」