Succulent Plants
今回は、多肉植物専門ブランド「solxsol」クリエイティブディレクターの松山美紗さんのご自宅やライフスタイルに注目。多肉植物が寄り添う素敵な住空間をご紹介します。
自宅の敷地内にある温室で約200種もの多肉植物を育てる松山さん。一部の品種は種から栽培したり、土に葉を挿して繁殖させる「葉挿し」を行ったり、水やりや温度管理、枯れ葉の除去など夫の浩司さんと二人三脚で多肉植物を育てています。さらに、ヨーロッパのアンティークやチュニジア産のテラコッタ鉢など、多肉植物と組み合わせる鉢を自ら選定して仕入れ、多肉植物と器をセットにして販売しています。「多肉植物もアンティークもどちらも大好きで、好きな物と好きな物を組み合わせて、人とは違う自分が良いと思う物をお客様に届けたいと思っています」
松山さんが形の美しさと丈夫さに惹かれてフラワーアレンジから多肉植物へとシフトしたのがおよそ20年前。3年ほどの修業を経て独立されたそう。「ITに精通した友人や美大生などの友人たちに協力してもらい、solxsolを立ち上げて、多肉植物のオンライン販売をスタートしたのが2004年ですね。
そこからインテリアの取材や本の出版のお話をいただき、今でも友人たちみんなの力を借りながらやっています(笑)」
オンライン販売を中心にイベントなどで出店していたなか、実店舗の運営も始められた松山さん。「ゆくゆくはお店を持ちたいと考えていて、コロナ禍を経て、『えいっ!』と奮い立たせて実店舗を持つことに。まだ時間の余裕がなくて不定期営業ですが、フェイス・トゥ・フェイスでお客さまと会話したり、いろいろなつながりが生まれているので、大変ですが開店してよかったです。自分が好きなアンティークとの組み合わせなど、見せたい形をお店で表現できるのがうれしいですね」
松山さんは、大好きな多肉植物を生き物として大切に育てられるよう土に工夫を施し、その上で器との自由な組み合わせを模索。他にはないスタイリングが人々を魅了し、「solxsol」の顧客の半数以上がリピーターに。また、ご自宅のインテリアがさまざまなメディアで取り上げられるなど、そのセンスのよさに定評があります。
建築家のル・コルビュジエが両親のために建てた「レマン湖畔の小さな家」に憧れていた松山さん。7年前に自宅を建て、そのインテリアがさまざまな雑誌で取り上げられることに。「合理的なことが好きで、とにかくコンパクトな家がよかったんです。1階は美術館のような開放感のあるワンフロアに。もともと持っていたアンティークの家具とマッチしてよかったです」
1階には家具や食器もお気に入りのアンティークがずらりと並びます。「若いときにおもしろい物を探しに骨董市によく行ってました。そこでお気に入りのテーブルを見つけて、気づいたらアンティーク好きに。新しい物にはない個性があるし、何より昔の物はよくできています。丁寧に造られ、素材もよく、丈夫で長持ちします」
「食器棚は、古道具の販売も行っていた今はなきカフェで、一目惚れして購入。事務所の書類棚だったのか、何に使われていたのかわからないのですが、働き者の雰囲気を醸し出しているのが好きです。食器も骨董市を巡って少しずつ買い足してきました。アンティークは飽きないし、歩き回ってようやく出会えた1枚だから大事に使っています。アンティークは高いですが、買い替えることがほとんどないので、かえってお金の節約になっているかも」
書類棚を食器棚にしたり、ベンチをテレビボードにしたり、机をディスプレイにしたり、自由な発想でアンティーク家具を活用されています。「多肉植物の器も同じですね。お猪口やチャイカップを鉢にしたり、物の用途にとらわれず、好きな物を自由に組み合わせるのが楽しいですね。特別な鉢を用意しなくても、身近な物でも代用できます。スタイリングで注意しているのは“今がかわいい”で選ぶこと。多肉はいずれ成長して大きくなるからあらかじめ大きな器を選びがち。でも、スカスカしてさみしげに見えるので、余白はなくしてできるだけ多肉と器を一体化して見せるのがいいですね」
自宅の家具でもスタイリングに使う器にも並々ならぬこだわりがある松山さん。写真奥の三角形のテラリウムはご主人お手製だとか。「気に入ったものがなければ買わないです。おかげで、いまだ寝室にベッドがありません(笑)。デザインはもちろん、価格も安くていいものを選びたいですね。多肉植物のスタイリングも同じです。アンティークのシンプルなテラリウムがほしかったのですが、なかなか思ったものがなく作ってもらいました。多肉も器もいろんな形があるから、その組み合わせを自由に楽しめるように、自分たちでつくっていきたいと考えています」
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