まだまだ寒い日が続く今、家でゆっくり過ごしたいですね。そんな冬の休日や夜に、思い出の整理収納をしてみましょう。「いつかやらなきゃ」と思いながら何年も経っている方、3時間でそのもやもやが消えますよ。ご一緒にいかがですか。
1カ所決めて、まず整理、そのあと収納に取り組みます。それが終わった場所は、日々片付けのみでOK。つまり、整理収納とは、仕組みづくりなのです。
整理収納は「30分」と決めて行いましょう。
整理を始める前におすすめなのが、キッチンタイマーで30分をセットしてスタートすること。時間を区切らずに進めると30分があっという間に過ぎてしまうように感じます。あらかじめ「30分」と決めておくと、「①思いのほか時間が長く感じて作業を進められる」「②時間を区切ることで集中できる」という2つのメリットがあります。
唐突ですが、思い出のモノをどのくらいお持ちか、ご存じですか。私の今までのコラムをずっとお読みいただいている方は、“適正量”という言葉を知っていただいていますね。実は私、思い出のモノにも適正量を決めています。
余談で恐縮ですが、私がこの「整理収納アドバイザー」という仕事を始めるきっかけの一つは、父の死でした。12年前、すい臓がんで62歳の若さで亡くなった父は、生きている間に、自身のモノをほとんど捨ててから旅立ちました。お葬式の準備のため父の部屋に入ると、がらんとした部屋にびっくりしたのを、今でも覚えています。おそらく父が、家族の手間にならないようにと考えたのでしょう。
今だから分かりますが、遺品整理は多大な時間と気力を要します。紙きれに書かれたメモでさえも、捨てられないのです。父が残した数少ないモノの量は、数冊のアルバムと、数冊の自作の趣味のファイルなど、本棚一段に満たないくらいでしたので、忌引の1週間で、遺品整理が全て終了したのです。私はその部屋で、「モノ」ではなく「時間」を父からもらったのだと感じました。
生前に全てのモノを捨てることはできませんが、せめて家族の負担にならないよう、今のうちに捨ててよいモノとダメなモノが分かるようにしましょう。そのために、“メモリーボックス”を一人一つ用意し、いったん思い出のモノの適正量を「ここに入る分だけ」とします。
使用頻度は低く、飾るまででもなく、数年に一度しか見ないけれど捨てられないモノは、だれでも持っているはず。そのような思い出を“メモリーボックス”に詰めるのです。サイズは、老後自分ひとりで持てる大きさで、幅40cmまでがおすすめ。そうすれば、将来の引っ越しや老人ホーム入居の際、自分で持ち運びできます。
そして「〇〇(名前)メモリーボックス」とラベリングするのを忘れずに。使用頻度は「低」(年に1回くらい)なので、私のメモリーボックス(写真)は、使いにくいクローゼット内の足元を定位置としています。このボックスに入らないアルバムなどの大きなモノは、本棚の1段に「メモリー」などとラベリングし、その場所にまとめるようにしましょう。
毎日、何枚も写真撮影すると、整理したくても、捨てる写真を選ぶのが大変ですよね。そんなときは、「捨てる」から「選ぶ」に発想転換してみましょう。
私はクラウドサービス「Google フォト」を使用しているのですが、移動中などの合間時間に、特に気に入っている写真に★マークをつけています。そうすると、後々気に入った写真のみをダイジェストで見返すことができます。例えば1日10枚撮影した場合、年間で3650枚。全て見返すのは難しくなりますが、1日のうち1枚、気に入った写真を選んでおけば、365枚になります。
もちろん、不必要な写真はその都度消しますが、それでも1日10枚ほどは残ってしまうので、この「選ぶ」方法で、見返しやすくしているのです。
アルバムというモノとして残したい方は、お気に入りの写真を、安価で毎月アルバムに製本してくれるサービスもあります。私はその収納にまた困るので、データのまま整理する方法にしていますが、自分に合うやり方で写真を楽しく残しましょう。また、カメラのGPS機能をONにしておくと、「東京駅」と検索するだけで、その場所で撮影された写真が検索できます。あと、楽しく見返すのにおすすめなのが「海」「庭」など、言葉での検索。写真は幸せのストック。ぜひ楽しんでご活用くださいね。
西口理恵子さん
整理収納アドバイザー1級、インテリアコーディネーター、宅地建物取引士。新築マンション営業、企画に携わり、「インテリアR」を立ち上げる。「収納・インテリア・美」を総合した「美人収納」を掲げ、テレビ・雑誌でも活躍。セミナー・講演だけでなく、個人宅で「美人収納術」を直接指導し、整理収納サービスで生まれ変わらせたお宅は200軒以上も。著書『毎日がうまく回り出す 1日1収納の法則』他多数。
<最終回のご案内>
2018年4月より連載してきました西口 理恵子さんの「美人収納レッスン」は、今号が最終回となります。2年間にわたってご愛読いただき、誠にありがとうございました。