Choukatsu
腸は「第二の脳」といわれるほど大切な臓器のひとつ。脳からの命令がなくても食べ物を消化して栄養を吸収し、24時間緻密に働いてくれている様子はまるで精密機械のようです。そんな人知れず健康を支える腸について、今一度見直してみませんか?
「キレイとおいしいはつくれる」をテーマに活動している料理家・池ももこさんのメソッドをヒントに、身体の中から美しくなれる「腸活」を始めましょう!
アパレル商社のPR職として仕事をする中で、日々の激務や会食続きによって体重が激増。仕事を辞めて実家に戻り、お米もまともに炊けない“料理オンチ”の状態から独学で料理をスタートし、食生活の見直しだけで15kgの減量を成功させた経験を持つインスタグラマー。
「キレイとおいしいはつくれる」をテーマに、簡単・おいしい・華やかなレシピをブログやSNSで発信して注目を集め、料理番組等にも出演。PR職時代に培ったスタイリング力を生かし店頭・SNS用ディスプレイなども手がけています。
腸活とは、腸内環境を整えて身体の内側からキレイをめざすことです。食べ物を消化して栄養を吸収するだけでなく、免疫機能を調整したり神経伝達物質の合成を行ったりと、さまざまな活動を行う腸を整えることは、美肌をはじめ、ダイエットやアンチエイジング、免疫力アップへの近道。腸を意識した健康生活が身体全体の健康や美につながります。
腸内には約1,000種類、約100兆個以上もの細菌が生息していることをご存知ですか? 顕微鏡で腸を観察すると、そんなたくさんの細菌がまるでお花畑のように見えるため、「腸内フローラ」と名付けられました。
細菌は大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられ、これらのバランスがいい“整った腸内フローラ” を維持することが健康や美の底上げにつながります。
“整った腸内フローラ”は、悪玉菌よりも善玉菌が優勢な状態を指します。食事や加齢、ストレスなどによって腸内フローラのバランスは簡単に崩れてしまうので、日頃から腸を意識した生活を心がけることが大切です。
善玉菌
ビフィズス菌や乳酸菌など、身体に良い働きをする細菌のこと。お腹の調子を整えてくれます。
悪玉菌
腸内で有害物質を作り出す、身体に悪い働きをする細菌のこと。便秘や下痢などを引き起こします。
日和見菌
善玉菌・悪玉菌のどちらにも属さず、腸内で多い方に味方する細菌のこと。
整った腸内フローラに導くために意識しておきたいポイントを、3つお届けします。
整った腸内フローラであるかどうかは、お通じで簡単にチェックできます。毎日お通じがあることはもちろん、健康的なお通じかどうかも確認しましょう。
整った腸内フローラにするためには、善玉菌を含んだ食品や善玉菌のエサになる食品を積極的に食べることが重要です。ヨーグルトやチーズなどの発酵食品は善玉菌を多く含み、野菜や果物、豆類やきのこ類などは善玉菌のエサになります。一方、肉中心の食生活だと腸で動物性食品が腐敗便となり悪玉菌が増える原因に。野菜や穀類をたっぷりととることを意識したバランスの良い食生活へと切り替えましょう。
自律神経のバランスが乱れると腸の働きも乱れ、腸内フローラのバランスが崩れる原因に。働きすぎや精神的なストレスで自律神経の乱れが起こるので、リラックスできる時間をしっかりとって心の発散に気を配りましょう。また睡眠不足も自律神経の乱れにつながるため、お気に入りの寝具を使ったり、リラックス効果のあるアロマを取り入れたりして、心地よく眠れるように工夫することも大切です。
1年半のうちに体重が約10kg増え、見た目だけでなく体調も崩れがちになった池さん。仕事が激務でストレスやアンバランスな食生活を見直そうと、いったん実家に戻り、「お米を炊飯器で炊くには?という、“キホンのキ”から勉強しました」と、独学で料理をスタートします。
同じものを何度も作って練習したり、それができるようになれば見た目にもすてきなものをと工夫したりする中で、自然とバランスのいい食事が作れるように。3ヶ月後には体調が変わり始め、肌ツヤもぐっとよくなったのだそう。
池さんのお料理のポイントは「楽しくて簡単、見た目も華やか」であること。「できなくても、まいっか!というぐらいの気軽な気持ちが大切です」という池さんに、堅苦しくない腸活の始め方を聞きました。
無理な食事制限を行うことでたしかに一時的に体重は落ちるものの、食べられないストレスが原因で腸内フローラが崩れ体調悪化につながります。「おいしくバランスよく食べることが何より大切だと思います。私自身、我慢が苦手なので無理な制限はしていませんよ」と池さん。“食べてキレイ”になるべく、まずはおいしく食べることを意識しましょう。
外食が多くなると炭水化物や肉中心の食生活になり、悪玉菌が増えてしまう原因に。「野菜や果物は不足しがちなので、積極的にとりたいです。炭水化物も、代謝を上げてくれる大切な成分なので、食べすぎないことだけ気をつけてとるようにしています。その場合、小麦よりも精製されていない玄米や胚芽部分をそのまま残した胚芽米など、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富なお米で補うようにしたいですね」。
「朝は排出の時間と考えています。お水をたっぷり飲み朝食をとることで腸を動かし、しっかり排出するよう心がけましょう。朝食にはブロッコリーやトマト、カボチャなどの緑黄色野菜を必ずとるようにしています。どうしても朝に食欲がない方は、野菜をたっぷり入れたスープなど、さらりと食べられるものがオススメです」。日々のお通じが、腸活への第一歩です。
お通じはもちろん、肌の調子や身体のラインなど、日々の変化を見過ごさないようにすることも腸活に欠かせない重要なポイント。「肌が荒れ気味だったり、体重が増えたりと、身体から常にアラートは出ています。そんなアラートを見過ごさず、肌が荒れていたら緑黄色野菜を多めにとる、体重が増えたら糖質を控えるなど自分自身の身体の調子に合わせて対策をすれば、自然と腸内環境も整い、体型・体調も安定します。まずは1週間自分の身体を見つめ直し、それから1ヶ月、3ヶ月、半年と続けて習慣化していきましょう」。
料理は、味はもちろん見た目で楽しさを演出することも大切という池さんに、腸活しながらおいしく見た目もすてきなアレンジ術を紹介してもらいました。毎日の食卓を格上げできる、“健やかな映え”を楽しみましょう。
ワンプレートで華やかに見せるためには、色のバランスがとっても重要。そこでお助け食材となってくれるのが緑黄色野菜です。「ブロッコリーにはビタミンCがたっぷり含まれ、免疫力アップやむくみの解消に役立ちます。さっと茹でるだけで食べられますし、添え物にしても映えるので重宝しています。ほかにも、ミニトマトやニンジンなど色鮮やかな野菜は栄養豊富で彩りも抜群なので、ぜひ付け合わせに取り入れてみてください」。
ごまには良質な油がたっぷりと含まれ、ほかにもタンパク質、ビタミン類、ミネラル、食物繊維も豊富という優秀食品。池さんも、そんなごまをお料理によく取り入れているのだそう。「仕上げに白ごまを少し振りかけるだけでお料理全体がこなれて見えますし、風味もぐんとアップします。白ごま自体の栄養も豊富なので、備えておいて損なしです!」
池さんが料理において大切にしていることは、いかに楽しく続けられるかということ。4つの工程だけで作れる華やかフード&スイーツレシピ「4step recipe」の提案や、できた料理のスタイリングにも力を入れ、誰もが笑顔で継続できるような料理を発信し続けています。 その上で腸活や健康的な食生活をキープするために、日々の栄養価を意識することも大切なのだとか。「とはいっても、毎日栄養計算するなんて大変ですよね。その辺は、なんとなく意識しているだけでも大丈夫! 1日の食事を振り返れば、今日はちょっと野菜が足りてないなとか、インスタントなものばかり食べちゃってるなとかすぐにわかると思うので、だったら夜は野菜を多めにしよう、ぐらいの軽い気持ちで腸活のお料理を始めてみてほしいです」。池さん流の頑張りすぎない腸活、ぜひ実践してみてください。
整った腸内フローラにするために、ぜひ食べておきたいおすすめの食材をピックアップします。池さん流の簡単でおいしいアレンジ方法もご紹介するので、ぜひ参考にして腸活を始めましょう。
腸の善玉菌を増やす乳酸菌がたっぷり含まれるヨーグルトは、腸活において積極的に食べておきたい食材です。1日約200gが理想的といわれ、朝や夜に100gずつ食べるのが◎。固形のヨーグルトだけでなくドリンクタイプでも腸活になります。
主な栄養素
「ザルにキッチンペーパーを敷いてヨーグルトを入れ、数時間から一晩置くだけで出来上がりです。水分が減り、硬さが出てなめらかな舌触りが楽しめるので、そのまま食べてもおいしいですよ。水切りして、ヨーグルトから出てきた水の部分はホエイといってビタミンやミネラルが豊富なので、スープやドレッシングなどに活用するのがオススメです」。
ダイエットの天敵と思われがちな油ですが、アマニ油をはじめ植物性の油は腸を刺激してスムーズなお通じへと誘い、腸活や美しいボディラインのためには欠かせない食材です。バターやラードなど動物性の油よりも、オリーブ油、ごま油など植物性の油をとるようにしましょう。
主な植物性の油
「植物性の油でドレッシングを手作りすればダイエットにも効果的です。オリーブ油やごま油などに醤油、お酢、レモン汁を加えて混ぜ合わせるだけで出来上がり。白ごまや青じそなどの薬味を加えて風味づけしてもおいしいですよ」。
動物性食材は悪玉菌が増える原因となりますが、どうしても食べたいときに我慢をしてストレス過多になるのは避けたいところ。動物性タンパク質をとりたいときには、疲労回復の効果が期待でき、抗酸化作用も持つ鶏むね肉を選んで食べましょう。
主な栄養素
「鶏むね肉に塩麹か塩をまぶしてよく揉み、鍋に入れ、お水を張って火にかけます。弱火〜中火で10分煮たらいったん火を止め、8〜10分ほどそのまま放置し取り出したら出来上がり。低温調理のようなイメージで中までゆっくりと火が通り、パサパサ感のないジューシーな食感になります。そのままお塩やわさびをちょっとつけて食べるだけでもすごくおいしいです」。
大豆には善玉菌のエサとなるオリゴ糖が豊富に含まれる上、植物性タンパク質も豊富とあってぜひとっておきたい食材です。また女性の健康をサポートする大豆イソフラボンも多く含まれ、健康的な食生活や腸活には欠かせません。
主な栄養素
「お豆腐はエキストラバージンオリーブオイルをかけてそのまま食べるだけでも健康的でおいしいですし、ちょっとしたアレンジにも対応してくれるのもうれしいです。私がよく作るのは、水切りしたお豆腐にココアパウダーとメープルシロップを加えてしっかり混ぜ合わせるだけの簡単豆腐ムース。簡単に作れてヘルシーで、もちろんおいしいのでぜひ作ってみてください!」