2025.08.29 公開
Disaster prevention
災害への備えは、必要と感じていてもなかなか手が回らないことが…。そこで今回は、ムリなく楽しく続けられる“もしもの備え”に着目。後編では、「ながら防災」を提唱するCAMMOCの代表 マミさんに食料品などの備蓄やおすすめアイテムを教えてもらいました。
— 食料品の備蓄方法として、日常的に使いながらストックを確保しておく「ローリングストック」がよく知られています。上手に活用するコツはあるのですか?
「『長期保存できるものを揃える』よりも、『普段使いできるものを備える』ほうが長続きします。備蓄用に比べたら保存期間は短くとも、ある程度は日持ちし、スーパーなどで簡単に入手できるのがポイントですね。たとえば、トマト缶なら『使用する分+1をストック』と決めて、使ったら必ず補充。新しいものをストックにし、古いものから使う。切らさないように意識するだけで、日常に備えが組み込まれるんです。慣れてくると、何がどれぐらい持つかも自然と把握できるように。また、続けていくと『これは災害時にも使えそうかな?』って、選ぶときの視点が自然と変わってくるんです」
「疲れていて家事をしたくないときこそ、ストックしているレトルト食品などを消費するいい機会です。賞味期限のチェックにもなりますし、食器はなるべくワンプレートにしたり、カトラリーも1人1本にして洗い物を減らし、“ちょっと手抜き”な日をあえてつくっています。もしものときの練習だと思えばいいんです。あまり気負わず、日常の中でできる範囲で備える。それが一番長続きしますし、『やらなきゃ』という意識が薄れることで、心の余裕にもつながっていきます」
「防災では分散備蓄が推奨されているのですが、私は管理が大変なので、普段使う食品も備蓄もまとめて1カ所に保管しています。食事の支度も買い物もローリングストックも、すべてがラクになりました。可動棚やキャスター付きワゴンを活用して、奥の物も出し入れしやすくすると、期限切れやムダな買い足しを防げます。また、取り出しづらい場所には、非常時に備えて期限を気にしなくていいトイレットペーパーやペットシーツ、非常用トイレなどを半永久保管するスペースに。何がどれくらいあるかわかるよう透明のケースに入れています」
「私はドライフードを手づくりしていて、ドライフードの魅力をどんどん発信していきたいなと思っています。ドライフードは旨味が凝縮されて美味しく、普段のお料理にもサッと使えて家事の時短になるし、ストックしておけばいざというときにも役立ちます。切れ端の野菜を使えば経済的で、添加物を使わないので身体にも優しく、つくる過程も楽しいですよ。また、最近は添加物を使わずにパッケージの工夫で長期保存できる食材があったり、レトルト食品も進化していますから、いろいろ試してローリングストックの中に組み込んでみては」
「ラジオは普段使いもできるよう、自分好みのデザインで選んでいます。ラジオは、多機能になればなるほどサイズが大きくなるので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。携帯できる小型サイズなら、持ち運びが便利です。また、災害時に使うことを考えると、手回し充電やソーラー充電などがあれば重宝します。あと、いざというときに周波数がわからなくて困らないようメモ書きしたマスキングテープを貼っておくのもおすすめです」
「LEDランタンはソーラー充電式で、普段からもよく使っています。たとえば、洗面室に置いているものはキャンプはもちろん、お風呂でゆったり浸かりたいときに間接照明代わりに使っています。非常用にしまっていると充電が切れてしまって、いざというときに使えないこともあるので、日常的に使い、お天気のいい日に窓際に置いて充電しています」
「リビングに置いている大型のポータブルバッテリーは、ウッドボックスにぴったり収めて、インテリアを損なわないようにしています。キャンプだけでなく、普段からもよく使っていて、タブレットやゲーム機を使うときに便利なんですよ。電源の近くで使えば、コードを最小限にすることができて、ペットがコードに足を引っかけるのを防げます」
「洗剤などは使い分けせず、できるだけ多用途のものを選んでいるのですが、中でもおすすめなのがスーパーアルカリイオン水『wash-U』です。これ1本で、洗浄・消臭・除菌ができてとても便利。化学添加物やアルコールを使っていないので安心して使えます」
「日常でも非常時でも自分を癒やしてくれるアイテムを持っておきたいですね。特に災害時には、心身の負担が大きくなりますから、『これがあると心が落ち着く』というものがあると、うれしいですよね。私は、ソネングラスという瓶型のLEDソーラーランタンに好きな花を入れています。就寝時にベッド脇に置いて使っているのですが、これを見ると心が安らぎます」
「アウトドア用品は、日常生活でもいざというときでも役立つものがたくさんあります。たとえば、キャンプで使う寝袋。かさばって収納スペースに困るのですが、クッションカバーの中に寝袋を入れると、収納場所を取らずに済むし、災害時にも役立ちます。中身がダウンだとクッション自体の座り心地がよく、春〜秋まで使える軽めの寝袋なら45×45cmのカバーにぴったり収まるんですよ」
「備えておきたいのは物だけでなく、被災時にどのように行動するか、家族でルールを決めておきましょう。外にいるときは、どこに行けばいいのか、家の中ならどうするか。家族で話し合っておきたいですね。また、私は防災ポーチの中に家族写真を入れ、写真の裏には連絡先や避難場所を記載しています。災害時にペットの迷子が多発するため、首輪にも連絡先を記載しています」