Nordic life
スウェーデンで暮らし、YouTubeの人気チャンネル「猫と北欧暮らし tanuko」を配信するtanukoさんのライフスタイルを2回に分けてご紹介。今回は、スウェーデンと日本との違い、スウェーデンの人々のことなどを教えていただきました。
2018年にスウェーデンへ移住したtanukoさん。どういった経緯で移住されたのでしょうか。「雑貨やアンティークの食器など素敵な物が多くて、いろいろ調べていくうちに興味がわいてきて。スウェーデン語学校へ通ったり、スウェーデンの伝統楽器『ニッケルハルパ』に出会ってスウェーデンの民族音楽に夢中になったり。スウェーデンの民族音楽は日本であまり知られてないですが、ダンスの曲も多いので演奏していても楽しいし、演奏中の雰囲気が大好きなんです。移住のきっかけは結婚です。もともと夫とは日本のスウェーデン語学校のクラスメイトでした。その後、夫は仕事で先にスウェーデンに移住し、私も結婚を機に移住することになりました」
スウェーデンに移住して4年半。現在のお住まいはどんな所なのでしょうか。「首都のストックホルムから電車で約4時間、スウェーデン最南部にあるスコーネ地方のアパートメントで暮らしています。スウェーデンは住宅難で賃貸物件がとても不足しています。今のアパートは5年待ってようやく入居できたほどです。家の周りには森があり、少し行くと畑が広がり、自然豊か。街にも車で10分ほどなので暮らしやすいですね」
日本とスウェーデンでの生活の違いについて、気になる物価を聞いてみました。「物価は高いですね。消費税は主に食品などの必需品が12%、嗜好品が25%と分かれています。日本だと百均もあれば、デザインや品質のよい高めの物などを選ぶことができますが、スウェーデンは種類や値段の選択肢があまりないので、それも物価が高く感じる理由だと思います。それもあって、スウェーデンでは物を大切にする人が多いです」
「スウェーデンは、セカンドハンドと呼ばれる中古品を扱うお店が充実しています。日本だとお店に買い取ってもらう形ですが、こちらではお店に寄付し、欲しい人が安く買うことができるので、私も利用しています。缶やペットボトルのリサイクルはデポジット制になっていて、1〜2クローネ(約19〜38円)があらかじめ価格に上乗せされていて、回収ボックスに空き缶を入れると返金される仕組みです。あと、日本と大きく違うのは粗大ごみ。冷蔵庫といった家電製品や、大型家具などは自分でリサイクル場に持っていくと、無料で回収してもらえます」
「日本のようにコンビニや自動販売機はなく、ショッピングセンターを除けば夜遅くまで営業しているお店は少ないです。土日にお休みのお店も多いので、移住当初は不便に感じていました。しかし、一度の買い物でまとめ買いをするようにしたら買い物の時間が節約でき、森で散歩したり、家族と過ごしたり、他のことに時間が使えるようになって、時短も悪くないなと感じています」
「スウェーデンのコロナ対策はロックダウンがなく、マスクも特に推奨しない独自の路線だったので、他のヨーロッパの国や日本と比べてストレスが少なかったかなと感じています。感染者が増えると、お店で人数制限があったり、公共交通機関でマスクを着ける必要はありました。経済的な影響を受けて仕事が減った人もいて、減った分の給料は国が一部を補償してくれました。
ウクライナ紛争の影響で感じたのは、電気代やガソリン代など物価が上がったことです。多くの人々が備蓄のために保存食などを買ったために、一時スーパーの商品が品薄になりました。スウェーデンの人々は、万が一の戦争に備える意識が高く、私も備蓄をしたり、シェルターの場所を確認しに行きました」
高福祉・高負担で知られるスウェーデン。国民は高い税金にも納得し、国への信頼が厚いとtanukoさんは話します。「国の政策を信頼している人が多いと感じます。税金が高くても街がきれいで掃除が行き届いていたり、公共サービスが充実しているため、用途が目に見えて透明性があるので納得しているのではないでしょうか。
国民性の特徴は、個人をすごく尊重すること。例えばBBQをするときは、食べたいものを自分が食べたい分だけ各々が持参します。“自分のことは自分でやる”という意識が強いと思います。また、スウェーデンの人々は順番をちゃんと守ります。お店で順番を待っているときに、どっちが先だったかなとわからなくなったら『あなたが先よ』ってちゃんと声をかけてくれます。そんなときにスウェーデン人の平等であることを大切にする国民性を垣間見たような気がします」
「スウェーデンの人々は、家族と過ごす時間をすごく大切にしています。友人の家に行って驚いたのが、中高生くらいのお子さんがいて、一緒にディナーを食べて、食べ終わったあとも大人たちとちゃんと会話をしていたこと。私なら食べ終わったあとは、自分の部屋に戻っていたと思います。また、子どもが悪いことをしたときはただ叱るのではなく、子どもの意見にも耳を傾けています。たとえ子どもでも一個人として見ているように感じます」
「スウェーデンでは散歩している人が多いです。健康診断や人間ドックなど予防のための受診がしづらいのもあって、みんな自分で心身の健康を維持するために、歩いたりジョギングをしています。私も天気が良ければ散歩に行きます。近所に遊歩道が整備された森があり、四季を感じながらのんびりと散歩する時間に心が癒やされています」
フィーカとは、コーヒー・紅茶と甘い物を愉しむ時間。コミュニケーションを育む上で欠かせないものとtanukoさんは話します。「1人でゆっくり過ごすのもフィーカですが、家庭や職場、コミュニティの中で、コーヒーを飲みながら話をする交流の時間。スウェーデンではあまり仕事のあとに同僚と飲みに行く習慣がない代わりに、職場でもフィーカの習慣が根付いています。私も伝統楽器『ニッケルハルパ』の演奏グループに入っていて、夜に練習があり、21時になると必ずフィーカの時間に。当番制でお菓子の準備をするのですが、男性でもお菓子を作る人が多くて驚きました」
tanukoさんは、どのような日常を過ごされているのでしょうか。後編では、普段の暮らしぶりや住まいで大切にしていること、物との付き合い方、食生活、休日の過ごし方などを教えていただきました。