Self care
無理をせず、心地よさを積み重ね、自分らしく続けられる。そんなセルフケアのあり方を植物療法士の鈴木七重さんが2回に分けてご紹介。今回は、ハーブや精油を使った実践的なケアを教えていただきました。
鈴木七重さん
植物療法士 / ∴chimugusui Inc. 代表
自身の不調改善のために自然療法を取り入れ、20年以上にわたって実践。不調が改善し、心身が調和していく体験から本格的に植物療法を学び、講師として活動。ハーバルブランド「∴chimugusui(チムグスイ)」を主宰し、植物療法の魅力を広く発信している。著書に『ゆるめる温める巡らせる』『私を整える』があり、24年11月26日に『TJMOOK リンネル特別編集 ゆるめて、温める。幸せなからだ』を発売。
ハーブとは、人間の暮らしに役立つ植物のこと。植物療法士の鈴木七重さんは、どのように自律神経のセルフケアに取り入れているのでしょうか。
「自律神経のケア=ゆるめるケアです。自然の中に身を置くだけでも人の心は和みますが、ハーブティーや精油から直接身体に摂取して、もう一歩深く癒やすことができます。その第一歩として、副交感神経を優位にしてリラックスのスイッチが入るよう 、夜に鎮静効果の高いハーブティーやリラックス効果の高い精油の香りを嗅ぐのをおすすめしています」
七重さんが主宰する∴chimugusuiでは、大きく4つの目的にあわせてハーブをブレンドしています。
醒:目覚めを促し、朝や仕事に集中したいときに
緩:心と身体の緊張やこわばりをほぐしてリラックスを促す
温:血行を促進し、身体の芯から温める
巡:デトックスを促し、ビタミン・ミネラルも補給
「一言でハーブといっても効果が異なります。朝は覚醒させるもの、夜は鎮静効果のあるものなど、飲む時間帯や目的にあわせて選んでください」
∴chimugusuiのハーブティーをいただいてみると、ハーブの素朴な味わいや香りが心地よく、とても飲みやすい印象。ポットにお湯を入れた際に、美しくハーブが舞う姿にも心が癒やされます。
「市販のハーブティーで香料が強いものがあったり、苦みがあったり、苦手という方もいますよね。いくら身体に良くても、美味しくなければゆるめられませんし、長続きしませんから、私たちがブレンドするハーブティーは、その味わいにもこだわっています」
醒 SEI 11 Roselle base
ハイビスカス/ルイボス/ジンジャー/スペアミント
目覚めの1杯に最適なハイビスカスに、活力をアップしてくれるジンジャーや清涼な香りのスペアミントなどをブレンドし、これから活動を始める朝や集中したいときにおすすめです。
温 ON 05 Rose base
月桃/ローズ/エゾウコギ/アンジェリカ/ラズベリーリーフ
女性のホルモンケアのために、古来より使われてきたハーブをブレンド。血行を促し、ホルモンのリズムを整え、女性特有の悩みに寄り添ってくれます。心癒やす月桃とローズの香りも魅力です。
緩 KAN 01 Chamomile base
カモミール/ラベンダー/パッションフラワー/エルダーフラワー/セントジョーンズワート
リラックスハーブの代表格「カモミール」をはじめ、鎮静効果のあるラベンダーなど、深いリラックスへ誘うブレンド。甘い花の香りが心と身体をゆるめてくれるので、寝付きが悪い時にもぜひ。
「苦みが気になって飲みにくいときには、はちみつを少し入れてみたり、普段飲んでいるお茶をブレンドすることもできます。無理に飲むのは、ゆるめるケアになりにくく、長続きしないため、味が合わないときは、他のブレンドを試してみてください。ハーブティーは、数あるハーブとそのブレンドによってさまざまな味わいがあるので、好みの味を見つけるのも楽しみの一つになるかもしれません」
精油(エッセンシャルオイル)は、ハーブの花や葉、実などから抽出した100%天然のもので香り成分を凝縮。ディフューザーやお風呂に垂らして香りを愉しむことができます。どのように精油を選べばよいでしょうか。
「初めて使う場合は、精油を希釈したロールオンタイプなら肌に直接つけることができ、手軽なのでおすすめです。精油を調合したオイル美容液やボディ・ヘアバームなどの商品もあり、今使っているものと置き換えてみるのもいいでしょう。
大切なのは、ご自身が好きな香りを選ぶこと。精油も目的に応じて使い分けることができます。リラックス系なら就寝前はもちろん、お仕事などで緊張をほぐしたいときに使うことも」
精油を使う際の注意点もお聞きしました。
「香りが心地よく感じない場合は無理に使うことはありません。また、成分の効果や商品に記載された注意事項をしっかり把握して使う必要があります。たとえば、ローズマリーやユーカリといった朝に最適な香りは、身体を目覚めさせる効果があるため、就寝前にはおすすめできません。
あと、精油を飲用するのは禁物です。基本的には原液を肌に直接つけるのも避けてください。保存も紫外線の影響を受けやすいので、遮光瓶に入っているものがいいですね」
ローズゼラニウム
バラに似た華やかな香りが愉しめます。リラックスしながら女性ホルモンのバランスを整え、リンパの流れを促進してくれます。ストレスや緊張からくる首や肩こり、背中、頭の疲れをほぐすのに最適。
ラベンダー
リラックス効果の高い万能精油。不安やストレスをやわらげ、心身をほぐしてくれます。首こりや肩こりからくる頭痛、不眠、生理痛、神経痛、やけどのケアにも使えます。
ローズマリー
中世より若返りのハーブとして知られています。勉強やドライブ、事務仕事などに最適な清涼感のある香りで、血液循環を促し身体を温めてくれます。
前編では、七重さんが自律神経のケアとして、4つのステップを提唱されていることをご紹介しました。最後の「 04.私に還る」とはどんなことなのでしょうか?
01.私を受け入れる|体の声を受け入れる
02.私を解放する|自分に無理をさせない
03.私を整える|セルフケアの実践
04.私に還る|自分らしい人生を過ごすために
「身体をケアして楽になっていくと、心も自然と軽くなっていきますよね。いきなりマインドをリセットするのは難しいので、まずは身体から整えることで、本来自分が好きなこと、心地いいことに気づき、自分らしく生きるヒントに出逢えるのではないかと思います」
「不調のときに我慢して、不快なことを感じないようにすると、快もだんだん感じなくなってしまいます。快・不快というのは表裏一体ですから。ケアしていく過程で、ハーブティーや精油を使って『あ、いい香り』『美味しいな』『なんか落ち着くな』と快の部分を取り戻していくのが、私が提案している植物療法です。
身体の声を聞いて不調が治っていくなかで、『私、本当はこうやって生きたい』という気持ちが感動するくらい戻ってくるんですよ。身体は本当にうまくできているなと私自身これまでに何度も実感してきました。身体はちゃんと自分自身を幸せな方に導こうとしているので、身体の声をまずはちゃんと受け入れてあげましょう」