Nordic Lifestyle

自分らしく心地よく暮らせる
キッチンと住まいの工夫をご紹介

北欧のインテリアやライフスタイルの魅力を発信する森 百合子さん。北欧エッセンスを取り入れた素敵なインテリアをご紹介しながら、自分らしく心地よい暮らしを叶えるヒントを探求します。後編では、キッチンや住まいの工夫についてお聞きしました。

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森 百合子さん

北欧ジャーナリスト、エッセイスト。
北欧の暮らしやインテリア、旅をテーマに執筆。主な著書に『探しものは北欧で』(大和書房)、『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(パイ インターナショナル)など。築90年の古民家に暮らし、北欧デザインを取り入れたリノベーションや暮らしの愉しみも伝える。執筆のほか、講演、イベント企画や監修に携わり、メディア出演多数。北欧ヴィンテージ食器とテキスタイルの店Shop Stickaも運営している。

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気分を高める空間づくり

人が集まりたくなるキッチン

— 有名なスティグ・リンドベリのベルサ柄の壁紙が品よく映えるキッチン。森さんがこだわったポイントをお聞きしました。

「朝に弱いこともあって、キッチンに立った時に気分が明るくなるような、気持ちよく家事ができるような空間にしたいと思い、青のベルサ柄を選びました。改修前から使っていた黄色の吊戸棚を壁側に移設することができたので、棚の黄色や水色と合わせられたのもよかったです。友人たちにも好評で、『可愛いね〜』とキッチンをのぞきに来たついでに手伝ってくれたりして、助かります」

システムキッチンとペンダントライトはイケアでセレクト。壁紙が映えるよう、コンロまわりは真っ白なタイルを設え、窓にはヴィンテージのレース、壁には絵を飾るなど、機能優先になりがちなキッチンも、デザインを楽しめる空間に。「キッチンもペンダントライトにしたのは、北欧の友人宅で見たのがきっかけなんですが、実際に調理や作業をしたところ自分が影にならず、手元が明るく照らされてとてもいいです」

カウンター下の収納には、大型の食洗機もスッキリと格納。また、ゴミ箱はシンク下の引き出しの中に収納されています。「ゴミ箱を収納の中にしまうのも、北欧の家で見たアイデア。じゃまにならず、見た目もすっきりしていいですよね」

黄色が目を引く吊戸棚は、オーダーで製作されたもの。棚の内側は水色で、北欧らしいカラフルな組み合わせに。「スウェーデンで見た昔の吊戸棚のフォルムを真似て、一番下のオープン棚だけ、斜めにカットしてもらいました。少しでも奥行きが浅いと、圧迫感が減るのでこれも気に入っています。オープン棚には、よく出し入れする普段使いの食器やマグカップを置いています」

キッチンの中で、お気に入りのアイテムを教えてもらいました。「ノルウェーのキャサリンホルムの琺瑯の鍋とケトルはやっぱり色が素敵です。今はもう生産されていないヴィンテージ品ですが、北欧でも根強い人気があります。琺瑯の質がよくて保温性が高く、フタが鍋敷きにもなる優れものです。水差しの形も好きで、気づけば増えました。花瓶として使うことが多いですね」


フィーカでリフレッシュ

— 北欧のライフスタイルの中で、日本でも知られるようになった「フィーカ」。北欧の人や森さんご自身はどのように楽しまれているのでしょうか。

「フィーカは、スウェーデン語でコーヒーを意味する『kaffi』をひっくり返して生まれた言葉ともいわれています。コーヒーと一緒に甘い物をつまんで、おしゃべりしたり、ひと息つく時間ですね。スウェーデンではオフィスでもしっかりとフィーカの時間が確保されていて、驚きました。わが家では、夫も私も家で仕事をしているので、コーヒーを淹れていったんひと区切りする時間を意識的に持つようにしています。時間がある時にはフィーカの定番、シナモンロールを多めに焼いて冷凍しておくので、コーヒーと一緒に食べています」


工夫を重ねて住まいを心地よく

心地よさを生み出す灯り

— 温かで、つい長居してしまいそうな居心地のよさがある森さんのご自宅。どのような工夫を重ねているのでしょうか。

「居心地のよさをつくるのは照明だと、北欧を旅してつくづく思いました。デザインのいい照明はインテリアのアクセントにもなりますし。リビングで使っているルイスポールセンのペンダントは、結婚当初からずっと使い続けているもの。ひとつの照明で部屋全体を照らすのではなく、暗くなりがちなところにテーブル照明を配置したり、ソファの横には読書灯を置いたりと、いくつかの照明を組み合わせるのがおすすめです。わが家では一部の照明は、スマートスイッチを使って、夕方の暗くなる時間に合わせて自動で点くようにしています」


キャンドルに癒やされて

北欧の夜に欠かせないキャンドル。森さんのご自宅にもたくさんのキャンドルホルダーが。「寒くなってくるとキャンドルに火を灯したくなりますね。夜は照明を最低限にして、キャンドルをいくつか灯して、晩酌を愉しむことも。ゆったりとした気持ちになれるんですよね。LEDキャンドルも便利なので使っています。キャンドルホルダーもつい集めてしまうアイテムで、一緒に置くテキスタイルや花瓶に合わせて使い分けています」


壁やコーナーを飾る

— 壁やコーナーにはたくさんのオブジェや飾りがありますが、雑然とせずまとまりが感じられます。

「北欧の人たちは壁を飾るのが上手。蚤の市やリサイクルショップでも絵やポスターを売っていて、気軽に飾っています。リサイクル文化が根付いているのは羨ましいですね。わが家には合わなかった、という物を寄付したり、他の誰かに使ってもらえる仕組みがあるので、インテリアもトライアンドエラーがしやすいのではないでしょうか。似たフォルムを繰り返したり、色でまとめるなど、飾り方のノウハウは学ぶところが多いです。写真やポスターは対で飾ったり、いくつかまとめて飾るのがいいとか。猫の写真やオブジェを飾っているコーナーには、実家で見つけたポストカードや、子どもの頃に作った工作の額なども一緒に飾っています」


花やテキスタイルで季節を感じる

カーテン代わりのテキスタイルやブランケット、飾られた花。色味のトーンをそろえながら、季節に合わせて変えているとのこと。「春や夏は爽やかな色合い、軽やかな素材を使いたくなりますし、秋冬は温かみのある色や素材を選ぶことが多いです。花は、手軽に季節を感じられるもの。花瓶やテキスタイルと色を合わせるのも楽しいですね。ソファの前に置いたクリアガラスの花器は、アルヴァ・アアルトがデザインしたもの。フィンランドの家庭や公共スペースなどでもよく見かける、世代を超えて愛されるアイテムです。花を飾らなくても、置いておくだけでもいいデザインです」


色や柄の組み合わせを試す

— 異なる色・柄の物を飾りながら、森さんはどのようにしてまとまりを出しているのでしょうか。

「色のトーンが合っていると、物が多くてもまとまりよく見えると思います。私も試行錯誤しながらですが、実際に組み合わせてみたら意外と相性がよかったということもあります。繰り返すうちに、『これとこれは合うかも』と選びやすくなってきましたね。アトリエでは、マリメッコの花柄のテキスタイルを大きく使いたかったので、この色と柄が映えるように他の家具や壁は白にしました。ポスターはちょうど色が合ったので一緒に飾ってみたのですが、この組み合わせも気に入っています」


自分らしく心地よく空間をつくるために

— ご自身の好きな家具やテキスタイル、雑貨などに囲まれた素敵なインテリアを実現されていますが、自分らしく心地よい暮らしを叶えるために、どんなことが大切なのでしょうか?

「あらためて、自分らしさと問われると答えるのが難しいですが、暮らしの中や旅先で“自然と目を奪われるもの”は何だったか、 “何気なく手に取る色”などをちょっと自覚するだけでも自分が好きな色やデザインを知るヒントになるのではと思います。部屋全部を一気につくり上げるのではなく、たとえばクッションカバーや小さなクロス、花瓶や照明など小さなパートから始めるのもいいですよね。これは、と思うものに周りを合わせていくとか。私の場合は『あのテキスタイルを使いたい』というところから始めて、それに合うように周りを整えることが多いです。インテリアは引きで見るのも大事ですね。『陶器ばかりだと重たく見えるので、ガラスで抜け感を出したらいいかな』とか、バランスがわかってくると物選びもより楽しくなります」



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